月淡く、花静か

月淡く、花静か

まだ水のない棚田は空を映さず、土の匂いのまま夕暮れを受け止めていたあの日。農作業を終えた老婦人が帰ると、その後には静けさだけが残ったのでした。ひとり、取り残されたように立ち尽くすと、音のない時間がゆっくりとあたりを満たしてゆくのです。そして、ふと振り返ると、そこに在るのは月の気配と花の群れ。つい先程まで、何も気にならなかったはずなのに。

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