
太陽がまったく姿を現さない棚田を遠目に眺めて、「さて、どうしたものか。」と考える夕暮れ待ちの時間。けれど、「じゃあ、帰るか。」とならないのは明白で、せいぜい別の場所へ移動するくらいが関の山。ただこの日は第一候補を蹴っ飛ばしてこの場所へ辿り着いたということもあって、日が落ちるまでここで粘ってみることにしたのでした。そして、カメラバッグを背負って三脚を持って歩みを進める道すがら、棚田の向こうに見えるのは優しく光る瀬戸内の海。相変わらず太陽は顔を見せないのですが、それが逆に詩的な情景を演出して、それはまるで諦めなかったワタシへのご褒美のような眺望で。