今日は朝勤の最終日です。「終わった。今から帰る。もう一度連絡する。」とメールを送信した相手は、中学時代の友人のタモツ(仮名)なのでした。急いで帰宅して急いでシャワーを浴びると、急いでカメラバッグに機材を詰め込みます。「16時20分でOK?」と、再度メールを送信するのですが、もちろん返信を待たずに出発します。とその前に、帰宅した際にテーブルに置かれていた段ボールの中身をバックに放り込んで。さて、今日は久しぶりにタモツの実家にお迎えに行きました。もう何年振りなのかも覚えていないのですが、とりあえず道は間違えませんでしたよ、奇跡的に。「どこ行く?」「え?双海の棚田じゃないの?」「五十崎にも棚田があるんよ。」「じゃ、そっちに行く?」「OK。」と、まあいつも通りのフレキシブルさを発揮して行き先が変更になったようです。さあ、行くぞ。
途中でコンビニに寄ってサンドウィッチとカフェラテを買い込むと、ふたりを乗せたハスラーは犬寄峠を疾走します。そして中山町を駆け抜けて・・・のハズだったのですが、いつの間にか上灘を走っているのは何故でしょう。「何年か前に佐田岬の灯台まで行ったの覚えてる?」「あー、行ったね。コロナ前やったっけ?」「夕方だったら綺麗だと思わない?」「OK。」と、どうやらそんなやりとりがあったのだと思われますが、なんにせよまたもや目的地がアップデートされた模様。ですが、こんな時間から佐田岬を目指して間に合うのでしょうか。さあ、急げ。
佐田岬灯台は佐田岬半島の先端にそびえ立つ灯台ですよね。そして、佐田岬半島というのは四国最西端の半島なわけです。遠いですよね。あまりにも遠い。けれど、Google先生は1時間44分あれば到着すると主張しています。そして、ここでささやかな疑問がひとつ。「駐車場から歩く時間は計算に入ってるの?」「さぁ・・・???」知りません。わかりません。Google先生は黙して語らず。とはいえ、もうすでにワタシの心は佐田岬灯台にしか向いていませんからね。そしてハスラーは夕やけこやけラインを抜けてメロディラインに突入です。さあ急げ。もっと急げ。
そういえば、燃料の計算を忘れていませんか? 五十崎までなら十分すぎる燃料が残っているので考える必要がなかったのですが、佐田岬半島を往復するとなるとちょっと不吉な予感がしませんか? いえ、不吉な予感しかしませんよ。もうすでに燃料ゲージは残りふたつ。そろそろ残りひとつになって燃料補給の催促がかかりそうです。マズい。これは非常にマズいです。今から八幡浜市街までUターンすると夕陽には絶対に間に合いません。さあ、どうする?
思い出しました。このまま走ると右手にガソリンスタンドがあったハズ。いや、間違いなくありました。ただ、四年振りのメロディライン。もしかしたらもしかするかもしれません。もしかしなくても、もしかしたら今日はすでに閉店している可能性だって否定できません。となれば、このガソリンスタンドに命運を預けようではありませんか。「ん? 誰も出てこん。アウトか?」「でも、灯りはついてるけどね。行ってみようか?」「よろしく。電気ポットが湧いてて人がおらんとかは勘弁やけどな。」「まさかー。」と、事務所に向かうタモツ。そして、「おじちゃん、めっちゃくつろいでたよ(笑)」「おじちゃん、最高〜(笑)」
さあ、これで燃料の心配はなくなりました。が、燃料補給に費やした時間はいかほどでしょう。視界の右側にちらちらと見える太陽の位置はけっこう低くなってきています。けれど、ハスラーはすでに伊予三崎港を抜けて細い山道に突入しています。クネクネクネクネくねくねくねくねとした愛媛県道256号佐田岬三崎線を延々と走り続けて、最近には珍しく迷わずに到着しました。しかし、ここからが本番です。2キロ弱あるつづら折りの歩道を制覇しなければ、灯台には辿り着けないのです。太陽はまだかろうじて水平線上。現在の時刻は18時50分。ちなみに、今日の日没時刻は19時08分です。さあ、歩け。
気分が高揚してるからですかね。かなりの早足なのですが、あまり疲れを感じません。このペースなら日が沈む前に展望台に辿り着けそうです。「イノシシ🐗に注意!!イノシシに遭遇した場合は・・・」とかでっかい看板がありますけど、ここまできてイノシシと遭遇するとかやめて欲しいですよね。つい最近イノシシとはお知り合いになりましたので、これ以上は遠慮したい気分です。しかし、先程からなぜか足取りが重いような気がします。心なしか息も切れぎれで、ゴールを目前にして一体どうしたことでしょう。ここにきて日頃運動してしていないツケが回ってきたかと思ったのですが、最終局面はかなりキツい上り坂でした。ワタシたち、50代オヤジにしては結構体力があるのかもしれません。よし、到着。
椿山展望台。目前には豊予海峡が広がります。太陽はまだ水平線より上。ということは、めでたく我々の勝利ですね。そして、Google先生は正しかったわけです。素晴らしい。とはいえ、あと数分で太陽は沈んでしまいそうな勢い。とりあえず、今日この日に夕陽が沈む景色をタモツと見たという記念の一枚を、偶然片手に持っていたRX100M3でパシャリ。と思ってたのですが、↑の写真は到着前に歩道から撮ったものだということをたった今思い出しました。スミマセン。ちなみに、家を出る直前にテーブルの上の箱からバッグに詰め込んだモノというのがこのカメラ。中古品をポチってたのが今日届いていたので早速同伴させた次第。カエルさんが使う予定のモノですが。
↑の写真が正真正銘、展望台に到着直後に撮影した一枚でした。そういえば、到着するや否や太陽が姿を消したんでしたっけ。失礼しました。それにしても、しっとりとしたいい写りですね。今回はRAWデータのみでの撮影だったので、クリエイティブスタイルから【ディープ】を選択して現像してみました。ちなみに、この【ディープ】とは、「濃く深みのある色再現にする。重厚感、存在感など、重みのある表現に適している。」というものらしいですよ。お気に入りです。
到着してすぐに夕日は沈んでしまいましたが、これからの30分ほどは残照が美しい時間です。どれだけ鮮やかに染まるのかは運次第なのですが、X-T1を取り出して撮影準備にかかりましょう。標準単焦点で一枚、望遠ズームで一枚、そして、広角ズームでもう一枚。穏やかに染まる海の表情を画角の違うレンズで楽しみます。どれも甲乙つけ難いのですが、どれか一枚を選ぶとしたら標準単焦点でしょうか。昔は望遠ズームが大好きだったのですが、最近は50ミリ前後の画角が落ち着きます。
EF70-200mm F2.8LをFringerの力を借りてX-T1へ装着した図。結婚する前に購入したレンズが未だに現役で使えるなんて、なんて有り難いことでしょう。しかもマウントの垣根を超えて、です。もう25年ほど使っているのですが、ほかの望遠ズームが欲しくならないほど気に入ってます。狙いを定めているのは、白亜の姿が優美な佐田岬灯台。そして、この景色・・・
椿山展望台から眺める佐田岬灯台は四国八十八景52番に選定。
ということなので、僭越ながらワタクシも撮影してみました。
美しいですね。つい先程まで灯台なるモノに興味はなかったのですが、こうやってしみじみと眺めてみると佇まいが美しい。少し錆色を纏った姿さえ気品があるように感じます。そして、この記事を執筆しながら検索しているのは、「日本国内の美しい灯台〇〇選」などというサイト。いやはや素晴らしい。灯台バンザイ。
やっぱり、NDフィルターが欲しくなりますね。いえ、前々から欲しい欲しいと思っていたのですが、数字が大きいやつは値段も張りますからね。出動機会やら使用頻度やらを考慮して後回しにしているうちに選択肢から外れてしまったという顛末。行き交う船舶を光跡で、灯台の投光を印象的に写し込みたいとなれば購入必至なのですが、これを機にお財布の中身と相談してみようかと思います。
おまけの3枚は、意味不明のリングの影がハートのカタチになるらしいモニュメントと黄昏れるふりをするタモツ。なんかオヤジふたりで訪れてスミマセンとしかコメントのしようがないのですが、この場にカップルがいなくてホントによかったと思いました。しかし、仕事終わりでハスラーを走らせて四国最西端の岬まで辿り着いて、しかも夕日が沈む瞬間を眺めることができるなんて、なんという一日の終りでしょう。家を出たときにはまさかこんなことになるなんて思ってもいなかったんですけどね。まったく、気まぐれドライブにも度が過ぎますよね。とはいえ、当の本人たちは改めるつもりなんてこれっぽっちもないような感じなのですが(笑)
追記
往路は一度も迷わなかったクセに、復路で二度も道を間違えるというオチまでつけてまったくもってオメデタイ一日でした。