午後3時。iPhoneのアラームが鳴って飛び起きる夜勤明け。夜勤最終日をシフト休にしたおかげで、カエルさんの休日に合わせて写真を撮りに行けることになったのでした。天気予報によると、夕方は晴れだったり曇りだったり。アプリによって若干の違いがありますが、この期に及んでそんなことは関係ありません。17時29分。ハスラーが辿り着いたのは瀬戸内海が見える山の上。そして、足元には水が張った棚田の風景。「まだちょっと早いなぁ。」「そうですね。」と、先客のおじさんと挨拶を交わすのですが、ここでワタシの下した判断はこちら。「今日はあっちのほうに行こうか。」




そうやって本谷の棚田を後にしたワタシたちが次に訪れたのは、双海町高串の棚田。三島神社の手前にあるあの素敵な棚田です。実は本谷の棚田に行く前に寄り道して、水が張ってあるのは確認済み。そして、こちらはどうやら貸し切りの模様。とりあえず枯れ色が印象的な雑草でウォーミングアップをして、徐々に奥へと攻めていきましょうか。ただ、先ほどから太陽が分厚い雲に隠れっぱなしなのが気にかかるのですが。



雲の薄いところから溢れた光がゆらゆらと海面を照らす情景のなんと詩的なこと。淡いブルーに包まれたこの情景は、晴天では望むべくもなかったものでしょう。もはや、ワタシの心は棚田の水鏡よりも海面に夢中です。


18時30分。ゴールデンアワーの始まりです。が、まったくゴールデンになりません。これだけ雲が厚いと当然といえば当然なのですが、ほんのちょっとの隙間が赤く染まっているのに少し期待してしまいます。「今日は残念やね。」農作業帰りのおじちゃんもそう慰めてくれるのですが、ワタシはこう答えるのです。「太陽があそこまで落ちてくるまで待ってみます。」



太陽が雲の隙間に近づくにつれ、じわりじわりと染まる空。そして、雲の隙間から溢れるありったけの太陽の輝き。上空はまるで染まっていないのですが、それがまたドラマティック。よくよく見ると太陽は薄い雲に隠れたままなのですが、むしろそちらのほうが幻想的に思えます。棚田の風景はほぼほぼ撮ることはできませんでしたが、こんな素敵な夕景を拝めただけでも訪れた甲斐があったというものです。