上灘の棚田は本当に好きなんですよ。井内の棚田や本谷の棚田、泉谷の棚田とか樫谷棚田だってもちろん好きなのですが、一番好きな棚田を聞かれたら、「上灘!!」と迷わず答える自信があります。ただ、この棚田って正式な名称が付けられているわけではないという認識なので、「上灘の棚田」という呼び名はこのブログの中だけということでお願いしますね。あと、蔵川棚田は一番美しい時間に訪れたことがないということで割愛しております。悪しからず。

ということで、前回訪れてから10日ほど経った休日の今日は、カエルさんを連れて上灘の棚田再訪。ただ、いつものように到着するのが早過ぎたようです。さて、今日は何をして時間を潰しましょうか。

もう少し広い場所に車を停めてちょっとだけ仮眠でも・・・と思ったのですが、その場所から見えた瀬戸内の海景がやたらと写欲を刺激してくるわけです。となれば、即座に三脚が登場するのは言わずもがな。カエルさんをハスラーに残して輝く海原を堪能するひととき。と思ったら、カエルさんはカエルさんで道端の紫陽花に夢中でした。流石です。

さて、輝く海原をたっぷりと堪能して遂に降り立った上灘の棚田。いつものように一番奥側から攻めることにしたのですが、惹かれるのはやはり輝く海原なのでした。今日は前回よりも天気がいいのですが、こういうときは得てして大して染まらないことのほうが多かったりして。

いよいよ迫る日没のとき。農作業のおじちゃんも帰り支度に余念がないまさにそのとき、三脚を立てたまま微動だにしないワタシ。電柱と電線は風景写真家にとっては天敵だと言いますが、ワタシはその佇まいに風情を感じる派。むしろ主役を張ってもらわんと構図を決めて待っているのですが、今日の西の空は豪快に焼けるよりもしみじみと染まることを選択したようです。ちょっと残念。

「あんまり染まらんのやけど、太陽がやたらと綺麗な色してない?」「あー、太陽だけ異次元の綺麗さやねぇ。」と、カエルさんと会話をしながら眺めた夕陽は、ここ最近見た太陽の中では別格の美しさ。「こっちこっち。」と、カエルさんに誘われて向かった場所から切り取ったこのシーンが今日のベストショットでしょうか。

日が沈んで残照の時間。今日の残照は青紫が印象的で、ほんのりとピンクが残る色彩が郷愁を誘います。最後まで農作業に勤しんでいたおばちゃんも家路について、この素敵な空間はついにワタシとカエルさんのモノ。と思いきや、カエルの大合唱がオレたちを忘れるなと主張していました。

「さあ、そろそろ・・・」と言ってみても、後ろ髪を引かれるのはいつものこと。じわりじわりと後退しながらシャッターを切って、ついに辿り着いた棚田への入り口。いえ、この場合、棚田からの出口と言うべきなのでしょうけど。そして、「また来年ねー。」と心の中で感謝の言葉を掛けながら、「今年はあの人と会わなかったなぁ・・・」などと思うのでした。

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